半端な中で半端に生きていくことでバランスをとる生き物
尖っている才能は好かれる。
数学の天才、美術の天才、彼ら、彼女らがエキセントリックな性格だったとしても、それは周囲から肯定的に評価され、語り継がれることがあるだろう。
翻って俺は半端ものである。
いつでも所属する集団の中で、その集団を否定することで自分のアイデンティティを担保してきた。
反発したいんだよ。
半端なところでしか個性を発揮できないとも言える。
進学校に入り、「部活で成績残せねえ奴はゴミだ」とか
バンドをやるサークルに入っては、「ギターとかベースとか終わってる」だとか、
データサイエンティストになってから「ビジネスやったことない奴はクソ」といった愚かなことを周りに吹聴してきた。
いわゆる逆張りを繰り返してきた。
そうしてキャラクターを確立させてきた。
こんなことは無意味だ。
俺も、それを見て、聞いた人間もそう思ったことだろう。
だけど俺はそうでしか生きられないんだよ。
何かを真っ当にやり遂げようとか、そんな気は毛頭ないんだ。
小器用にいろいろ手を出して、それで生きていくしかないんだよ。
なぜなら俺には才能も志もないからだ。
「お前は何の仕事がしたいんだよ」
「お前はやりたいことなんなんだよ」
そんなもんねえよ。
うっせえバカ。死ねよ。
やりたいことなんてねえよ。
バカを笑い飛ばせばそれでいい。
報われない人がなんとなく助かればそれでいい。
俺はそんなに贅沢言える身分でもないんだよ。
ペテンにまみれながら、明日の飯の心配をしているんだよ。
なにがやりたいかなんて贅沢を言える身分じゃねえんだよ。
それなりに生きるすべを確保しながら、それなりに安定してからじゃないと
何もできないんだよ。
このやり方では、遠いところには行けないと思うけど、
俺は俺自身が納得すると思っている。
そうやって開き直ることもできやしないから、こうして文章に起こした。